山脇さん: 弊社が取り扱っているマイクロロボットであるオゾボットの特性を生かして、プログラミングを小学生から学べるようにしたデジタル教材です。まったくプログラミングがわからない段階から、最終的にはちゃんとプログラミング言語を理解するところまで、ピラミッドのように段階を踏んで勉強していきます。 オゾボットの一番の特徴はなんと言ってもその大きさです。日本の学校や塾の机の上でも動かせます。そしてすぐに使えることも。こどもたちは教材があるとすぐ動かしたいと思うはずですが、従来のロボットやサーキット回路型の教材では、動かすには時間がかかってしまいます。
横川さん: オゾブロックリー(OzoBlockly)という専用のビジュアルプログラミングツールを使うのですが、このプログラムの読み込ませ方に特徴があります。普通のロボットならケーブルを繋いで、プログラムを読み込ませて動かしますが、オゾボットの場合はコンピュータ画面の点滅です。色調補正である「キャリブレーション」を行い、色を読み込ませた後にオゾボットが動きます。
山脇さん: そうなんです。電源ボタンをカチカチッと2回押すと、今読み込ませたプログラムが動き出します。またケーブル類も不要です。必要なものは、PCやタブレットなどのコンピュータ、オゾボット、走らせるコース、以上です。それだけでプログラミングが始められるところが魅力の一つです。
横川さん: コードパワーキッズでは、6つのステージを設けて、それぞれ身につけられる力を設定しています。ステージ1:ロジカルシンキング、ステージ2:自動化、ステージ3:変数、ステージ4:構造化、ステージ5:アルゴリズム、最後のステージ6でプログラミング言語であるjavascript(ジャヴァスクリプト)をコードリーディングで学びコードスキルを養います。 大きな特徴としてストーリー仕立てにしてあることです。森のステージ、洞窟のステージ、海のステージと冒険して、冒険が全部終わるとメダルを手に入れることができます。メダルを6つ手に入れると「コードパワー」というコードを扱える力を身につけることができるというストーリーを作って、その中で楽しく学んでいけるように設計しました。
山脇さん: とにかくストーリー作りを重視しました。われわれが提供するものは基本的には自立学習の教材であり、こどもたちが飽きずに続けるためにはストーリー設計こそが重要だと思っています。プログラミングの力を使えば、空だって飛べるし、宇宙にだって行けるという可能性をストーリーの中に示しているのです。大人がやっても面白いはずです。プログラミングの可能性を込めたので、とにかくストーリー設計に関しては、時間をかけました。
山脇さん: インセンティブ設計もちゃんとやっています。コインやリンゴを集めたりといったことを、画面でも紙の上でも同時にやっていきます。「自分はこれができた!」という証として、教材にシールを貼っていく。ステージを最終的にクリアできるともちろん画面にも表示はされるのですが、ステージアイテムとして画面と同じデザインのリアルなバッジがもらえます。 ロジカルシンキングや変数ができた証拠として、勲章のようなバッジをかばんや服に付けることで、「自分は○○ができるんだ」と確認できるようにしよう、という、いわば勲章のようなものです。
さらにコードパワーキッズの特徴は、あえてプログラミングに必要な用語をそのまま勉強させることです。たとえば先ほど「キャリブレーション」という言葉が出てきました。キャリブレーションってどういうことかおわかりになりますか?
山脇さん: 日本語で言うと色調補正です。オゾボットにはカラーセンサーが入っているので、プリンターを買ったときは、必ず最初にキャリブレーションをやります。ただコードパワーキッズでは「色調補正」と言葉を変えていません、キャリブレーションのままです。他にもステージ3では、変数を学びますが、こどもたちは変数という言葉を使いこなし、変数という行為を行います。ブロックプログラミングのツールの上で、概念としての変数を覚えてしまうんです。変数を習うのって、おそらく中学1年生とか2年生ですよね。でも小学2~3年生の子が、普通に使いこなしています。 われわれは、別の言葉にあえて置き換えませんでした。変数は変数として学んでもらおう、キャリブレーションはキャリブレーションとして学んでもらおう。なぜなら言い換えたところで、いずれその言葉をちゃんとした言葉で学ぶときが来るからです。でも、変数もキャリブレーションも難しい言葉ですよね。なので、小学1、2年生の子でも変数がわかるように、言葉や図形などあらゆる手段を駆使して、「変数って要はこういうことだよね」というのを行為として学んでもらうようにしました。 1つ目はストーリー重視、2つ目はインセンティブ設計、3つ目は用語をちゃんと覚える。この3つがわれわれのコードパワーキッズにおける、大きな特徴になっています。こういった部分はすべてのアドバイザーをしていただいている上越教育大学の大森康正教授の指導のもとでやっています。
横川さん: すぐに動かせて、手のひらサイズで光って動いてかわいらしいのがオゾボットの魅力ですが、やはりコンテンツ側でも楽しくないとこどもたちは続けてくれません。こどもたちがつまずいたときに、保護者の方に聞いてもうまく答えられないこともあるかもしれない。算数や国語とか、既存の教育の範囲ならこどもたちに聞かれたら何となくわかるけれど、プログラミングは学んでなければわからないでしょう。そのために私たちは動画であったり、スモールステップでのレベルアップの構成にしたり、いざという時にはサポート窓口も用意する体制を取って「わからない」をなくすようにしております。
山脇さん: 私の一番上の娘がニューヨークで生まれ、ニューヨークで育って、ニューヨークの小学校1年まで行ったんです。小学校1年のクラスはアメリカも日本も大して変わりはしないのですが、ある日こどもを迎えに行った時に小学校4年生の子たちの授業風景が見えました。そこはコンピュータールームでしたが、1人1台Macを使って勉強をしていました。驚いたことにその授業では「自分の祖先はどこの国からきたか、その国はどんな国か」を一人一人が調べて、レポートに書いて発表していたんです。 ニューヨークは古くは「人種のるつぼ」と表現されるくらい本当にいろんな国の人たちがいます。よく「ニューヨークはニューヨークで、アメリカではない」と言います。あらゆる人種の人たちがあらゆる言語を母語に持ちながら集まって、仕事をしている。それが全てではありませんが、本当に才能で生きていける。 ニューヨークという街が今でも大好きです。自分たちのアイデンティティ、「自分は一体何者か」ということをちゃんと調べて、どういうものかを発表する授業をしていたんです。だって、4年生ですよ。しかもみんなMacで調べてワープロソフトを使って、印刷して、みんなで読んだ上で廊下に貼っておくんです。アメリカというものの根本的な部分を見た気がしました。もっと言うと、コンピューターを使って、自分がわからないこともそれで「ググって」いくんです。それを見たときに「日本人って絶対にここじゃ勝てないな」と思いました。なぜGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)が日本で生まれないかというと、私がニューヨークの公立小学校で見た4年生の授業に立ち戻る気がします。
山脇さん: これが難しいところですが、今から日本人がアメリカ人のまねをして勝てるのだろうかと思っています。日本人は1人で戦うのがとても下手というか、集まってこそ強みを出せることが多い。サッカーの日本代表の試合のインタビューでよく言われる「個が強さ」というのは、そういうことだと思います。では、個が強ければ組織はどうでもいいのかというとそうでもなくて、それだけではブラジルに勝てるわけがない。私は一概にアメリカ的になる必要は決してないと思います。
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テクテク編集部あとがき
取材の終盤で、代表取締役の山脇さんから聞かれたニューヨーク生活の思い出が印象的でした。人種のるつぼ、ニューヨークには「いろんな国の人々があらゆる言語を母語に集まり、仕事をしている」という話。黒いオゾボットと白いオゾボットが一緒に動き、その他のキャラクターはジェンダーレス、人種、肌や目や髪の色というものもなく、プログラミングの力を使えば、空だって飛べるというコードパワーキッズのストーリーは、ニューヨークの多様性そのものです。キャスタリアのエンジニアとデザイナーがこどもたちのためにつくったストーリーの中を、アメリカ生まれのかわいいロボットが動き回る世界というのは、山脇さんがずっと思い描いてきた理想であるように思えます。